ABOUT
私は、岐阜県で仏壇や神輿の木製部分の製造を担う木地師の家の長男として生まれ育ちました。 今も静かに目を閉じると、木材の香りに包まれた作業場で黙々と仕事に打ち込む父や祖父の姿が脳裏に浮かびます。 日々眺めたその光景が私の原風景といえるかもしれません。 大人になり、一度は家業に入るも、さまざまな葛藤を経て2007年に独立。神仏具から離れ、暮らしの道具メーカー「woodpecker」を立ち上げました。 以来、「いちょうの木のまな板」をはじめとするオリジナル製品づくりを通して、「暮らしと自然を木でつなぐ」試みに取り組んでいます。 woodpeckerの創業から10年が過ぎた頃、自分の中に「もう一度、神仏具を作りたい。それも、今だからできるものを」との思いがふつふつと湧いてきました。 幸せなことに、手工業デザイナーの大治将典さん、宮大工の唐箕屋さんという魅力的な協業パートナーを得て、プロジェクトが具現化。 伝統工芸の技術と新しい感性が融合した神棚「GIRIDO」と仏壇「OGAMIDO」が誕生したのです。 神仏具は古くから、日本人の心と暮らしをととのえる役割を果たしてきました。しかし、その役割は時代とともに変化してきています。 現代の住空間にふさわしい神仏具のあり方、大切な人を思う時間のあり方、伝統文化の継承のあり方。「GIRIDO」と「OGAMIDO」は、そうした課題に、暮らしの道具メーカーとして出したひとつの答えです。 両製品がぜひ、ひとりでも多くの方の暮らしに溶け込み、長くご愛用いただけることを願ってやみません。 ウッドペッカー 福井賢治